ハンズオンイベントの威力と企画して実施するまでの記録
こんにちは。Zennチームの和田です。
この記事は クラスメソッドグループのコミュニティ活動 Advent Calendar 2024 - Adventar 26日目、Extra Stageの記事です。
今日はハンズオンという形式のイベントの良さと、実際に主催したときの記録を残したいと思います。
ハンズオンイベントは参加するのも楽しい
さかのぼると AWS re:Invent 2017 かもしれません。参加させてもらったのですが、まあ普通に英語のトークセッションは内容がよくわかりませんでした。
しかし光明が。ハンズオン / ワークショップ、つまり実際に手を動かすタイプのセッションならば…
- 手順がテキストになっている
- 英語のリスニングに脳のリソースを使わずに済む
- わからないことは隣の人に聞ける
ということに気づき、途中からハンズオンやワークショップをできるだけ受ける作戦に切り替えました。懐かしいですね。
これに加えて AWS Elemental MediaLive のハンズオンも受けた記憶があります。露骨ですね…。
時間をとばして、直近参加だと、Google Cloud Next Tokyo ’23で ファイル管理サービスの検索機能を作ってみるハンズオンに参加しました。今でいう Vertex AI Search ですかね?楽しかったです。
ここで言いたかったのは、実際に手を動かして体験できるため、頭に残りやすく、自分のペースで解釈できる点がハンズオンのメリットだということです。最近、イベントへ参加するときの戦略としては
- 事例が聞きたいならセッション
- 技術に触れてみたいならハンズオン
という方針にしています。自分の中ではしっくり来ています。
次はハンズオンでやったアレを試してみようかな
すべての社会人に共通する話だと思いますが、身につけたスキルはいつどこで必要になるかわかりません。完璧に習得した状態で100%マッチする課題にあたれるのが理想ですが、人生そううまくはいかないですね。しかし、ソリューションたりえる技術を知っているのと触ったことがあるのとでは、試してみるハードルがずいぶん違うと感じるのではないでしょうか。再現性の違いかと思います。
このことから、自分が技術トピックの啓蒙活動を行う際は、ハンズオン形式で体感してもらうのが近道かな、と考えるようになりました。
他方: 圧倒的に準備が大変
ありがたいことにいろいろなイベントでトークセッションをやらせていただいたり、ハンズオンも実施させてもらっています。提供する側になって気づいたのですが、ハンズオン、準備がとても大変です。
ほぼすべての評価がコンテンツで決まる上に、受ける方の環境やスキル状況もバリエーションがあります。すべてに対応するのは無理なので、コアな体験をどこにするか、最低限そこまでたどり着いてもらうためにどういったサポートが必要そうか、を考えることになります。
以降では、先日開催した Cloud Run Dojo を例に、ハンズオンイベントの準備について私の考えを残しておきます。
企画
まず、どういった価値を提供し、開催する側としては何を得たいか言語化します。ここまでハンズオンイベントの良いところをピックアップしましたが、不得意な側面もあります。
- イベントの規模にもよるが、一度にリーチできる人数は限定的
- マーケティング活動の一環としてはやや効率が悪いかもしれない
ですので、リード獲得など、成果を数字として求められている状況だと、なかなかハンズオンは難しいかもしれません。Cloud Run Dojo の場合は、開発者やCloud Runに興味がある方がご自身の課題を解決するための選択肢になってくれればいい、と割り切りました。これでかなり自分としてもやりやすくなりましたね。下手に会社の営利目的と結びつけないほうが良いケースもあります。もちろんその限りでもないので、周りの人に相談してみてください。
企画で、今思えばこうしててよかったな、と思う要素を振り返ります:
- 土曜日に開催した
- 完全にオフラインにした
- そもそも人数の上限を20人程度に絞った
- 来てくださった方にとって嬉しいことをいくつか用意した(Zennのウラ話など)
ひとつ、幸運だったことがあります。Google Cloud Japanさまのオフィスをお借りして実施できたことです。会場まわりで圧倒的に考えることが減りました。改めてありがとうございました。
コンテンツづくり
大変だと思います。でも、期日 と コア体験 は先に決めておくことをおすすめします。期日がないと、たぶん永遠に完成しません。一度作れば複数回のハンズオンで活躍できますし、新しいコンテンツを作る場合も流用できます。
今回のイベントの場合:
- 期日: おおよそ3ヶ月くらいの期間になるよう、期日を定めました
- コア体験: Cloud Run のデプロイと、アプリケーションの修正
また、Google Cloud のハンズオンについては、Cloud Shell でコマンド環境を利用しつつ資料を表示できる便利な teachme
コマンドもあります。うまく活用することで参加者の環境差分を小さくできます。
Cloud Run のハンズオンで Cloud Shell と teachme コマンドが便利だった
チューター陣へのサポート依頼
今回のチューター陣は、Google Cloud の Partner Top Engineerである室井さん と、Google Cloud の Sho さん、moko さん、そして Taiki さんです。豪華ですね。休日にありがとうございました。場合によっては登壇者よりもチューター陣のほうが質問をたくさん受けることもあります。どんなところでつまづきそうか、想定しないエラーがでたときはどう対応するか、あらかじめ共有しておくことをオススメします。
イベントページを充実させる
connpassページはこちらです。
【12/7土 現地開催:渋谷】Cloud Run Dojo - 初級者向けハンズオン - connpass
とくにハンズオンイベントの場合、それなりの時間をいただくことになるため、前提と期待値を合わせておく意味でも、できるだけたくさんの情報を載せると良いです。
当日はコミュニケーションを楽しむ
ハンズオンはリーチできる人数が少ないですが、一方で参加者の方とみっちりコミュニケーションがとれます。皆さん、それぞれ一人ずつ参加に至ったモチベーションがあるはずで、それを聞くのも面白いです。オフラインイベントならではの良いところですね。なかには「Shoさんと和田さんに会いにきました」と言ってくださった方もいて、嬉しかったですね。
アンケートをとって振り返り
Google Form などでアンケートをとり、参加者の方から感想をいただいて、メンバーでふりかえりをしましょう。今回のイベントで挙がったふりかえりは次のようなものがありました:
- connpass登録時に本名を入力してもらうのをお願いするべきだった(会議室を利用する関係上)
- 会議室の規模と設備がちょうどよかった
- Taikiさんの差し入れが美味しかった
- アンケートをみると、トークセッションのパートをもう少し時間とってよかった
- gcloudコマンドだけでなく、管理コンソールを触るシーンをもう少し増やしてもいいかもしれない
おわりに
世のいろいろなコミュニティでイベントが行わており、その準備にはたくさんの人の努力と熱量が注がれていることがよくわかりました。Cloud Run のハンズオンイベントも、とうてい一人でできるものではありませんでした。
イベントを通してひとつわかったことがあります。自分がその技術が好きと表明して、それを示せば(ブログ執筆やトークセッションなどでアウトプットする)、同じくらいの熱量をもった好きな人が集まってくれるということです。そして、同じくらいの熱量を持った人が集まれば、力を合わせて新しいことができます。
今後も好きな技術を楽しみつつ、少しでも多くの人と分かち合っていきたいと思います。